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DANCE BOXのブログ

日がな一日、ダンスボックスの記録

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【ArtTheater dB 神戸】新たな出発!

2009/05/03(Sun)20:35

4月29日、ArtTheater dB神戸のオープニングは、新緑かおる五月晴れのもと、開催されました。
お客さんも海外からも含め、地元の商店街の人、アーティスト、行政など多様な人たちが来られました。前日までどれぐらい人が集まるのか心配していましたが、杞憂におわりました。

(写真:阿部綾子)
シンポジウムの第1部は、北九州芸術劇場の館長で(財)地域創造のプロデューサーの津村卓さん、アサヒビール芸術文化財団の事務局長で横浜市芸術文化振興財団の専務理事でもある加藤種男さんの基調講演と、間に鳥取の「とりの劇場」を主宰されている中島諒人さんのビデオレターで構成しました。

津村さんは北九州芸術劇場の地域への意識の持ち方を数十年前に、大阪で立ち上げたOMS(扇町ミュージアムスクエア)の頃と比較しながら、劇場がダイレクトに関わるコミュニティを狭い範囲で考えることが重要という話でした。
北九州は人口が90万人ですが、距離的に劇場から半径数キロの30万人が住む地域をまず意識しているとのことでした。ちなみに、長田区の人口は震災時、極端に減少したものの、現在10万人程度まで回復しましたが、それでも震災前を下回っています。劇場が意識するコミュニティをどれぐらいの規模で考えていくのがよいのか。この問題はこのシンポジウムの大きなテーマです。

また、劇場が作品を見せるだけではなく製造していく場所であるということを、かつて製鉄業で栄えた都市の記憶を人のなかにあるモノを生み出すという経験と、どう結びつけていけるのかという課題についても話されていました。
演劇やダンスといった舞台芸術に出会い、触れることは近年、鑑賞に限らずワークショップ等を通じた参加型のものが増えています。
津村さんの話でおもしろかったのは、演劇のワークショップに参加した71歳のおじいさんの日常生活の変化でした。当初、このおじいさんがワークショップに参加された動機は宴会の余興の芸を何か覚えたいとのことだったとのことですが、目的を達成することができたか否かは不明。ただ、娘さんの報告として、いつも怒りっぽかったおじいさんが柔らくなったことと、作業服しか普段着ていなかったのに、アイビールックのシャツを着るような変化があったとのこと。

アートに触れることで日常生活のなかに変化が生まれ、そのことが本人だけでなく周囲にいる人にもよい変化をもたらすという好例だと思います。
後、地方都市でアーティストやテクニカルスタッフを育成していくことの重要性と問題点が語られました。
地元から自立できる舞台芸術に関するアーティストを育成する方法へのアプローチは出来たとしても、そのアーティストが地元で経済的に自立することの困難な状況があること。これは、テクニカルにもあてはまるという。
この状況は北九州に限らず、東京以外の都市、全てに当てはまることだと思う。
生活基盤を整備することが、次の大きな課題であるということは、神戸でも問題になってくることである。

加藤さんの話は子供の頃の田舎の共同体に対する嫌悪感から、その後の高度経済成長による共同体の完全な破壊を体験して、個人主義ではなく周辺の人の幸せを考えられるような、ちいさなコミュニティをつくる必要があり、新しい発想を生み出す拠点として劇場があればよい・・ということを話しておられました。
近江八幡にある「権座」という水郷地帯の酒米の生産事業等を例に引きながら、コンパクト経済、コンパクト社会(歩いていける範囲のなかで、全ての人が社会的なサービスを受けることができる社会)の実現が必要という結論でした。

中島さんのお話はコミュニティと劇場の関係について、劇場が基本的にローカルなものであり、そこに可能性があるとのことでした。グローバル化が進むなか、地域の均一化が始まり、その多様性が失われつつある現在、それを回復するには劇場が必要であるとのご意見でした。
これは身体を介したコミュニケーションが成立する場所が劇場であり、その特性をコミュニティに広げていく時、加藤さんの言うコンパクト社会が成立するのだと思います。

また、そのローカルなコミュニティが国内外のコミュニティとネットワークを形成するという広がりを持つことも重要だとのお話でした。
また、鳥の劇場は15人のスタッフがフルタイムで働いているそうですが、その体制を継続し、安定させていくためには、地域の人たちに劇場が必要なものだと感じてもらうことが一番基本になるのだという考え方をもち、実際に活動しているのには関心します。また、劇場での活動が心の問題だけでなく、新しい産業の創出にも影響を与えることを示唆しています。更に、鳥取県に対して
包括的な協定のようなものを結んで、運営費の補助を得るという方策を、来年度に向けて県の担当部署との間で模索しているというお話は、行政とNPOのシ新しいステムづくりとして注目したいと思います。

第2部では、藤野さん、福島さん、岡さんがそれぞれの活動を中心にお話されたなか、金さんの話が地域のもつ多様性を具体的な体験として展開されたのがおもしろかった。
金さんは神戸定住外国人支援センターというNPOを運営されているだけあって、地域の外国人との付き合いも多い。
あるペルー人の15歳の女の子の誕生会に招待された時に、儀式的な独自の様式のなかに異文化を感じ、それがおもしろかったこと。また、新長田は韓国・朝鮮の人も多いがチャングの文化があり、ベトナム人のところへ行くと、音楽を浴びるように聞く文化がある。また、沖縄や奄美大島出身の人も多く、まさに多文化が混在する地域であるという話であった。
海外の事例を見ても、多様な文化が混在する場所でアートが個々の価値を認め合いながら、新しい価値観を創出していくことに成功しているところが多い。
多様な文化が混在していることを、この地域の文化的な資産として取り込んでいきたいと思います。

全体としてまったく時間がたらず、結論を引き出すまでには至りませんでしたが、アーティストの想像力、創造力が市民ひとりひとりがクリエイティブになっていくことの力になること。と同時にアーティストは世の中の出来事にもっと関心を持ってほしいということ。
ローカルなコミュニティからグローバルにつながっていくこと。
など、今後のDANCE BOXの活動に役立つ意見をたくさんいただきました。

(写真:阿部綾子)
午後6時から始まったオープニングパーティにもたくさんのお客さんが参加されました。矢田神戸市長の祝辞から始まり、地元の商店街の会長、上田さんの乾杯の音頭で一気に盛り上がり、後半にはten+三林かおる、吾妻琳、伊藤愛+塚原悠也、各氏によるご祝儀舞がオープニングに花を添えました。
料理は地元の丸五市場の「TeTe」さんのミャンマーカレーの出張サービスを始め、新長田名物のぼっかけコロッケなど地元のものを出しました。
宴は8時過ぎまで続き、たくさんの方にArtTheater dB神戸の船出を祝福していただきました。
さて、これからどのような表現がこの劇場から生まれ、どのような人と出会い、また地域のコミュニティにとってどのような劇場に成長していけるのか、新しい歴史を刻んでいきたいと思います。(I)

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